2019年4月2日火曜日

IFRSのP/L、どこまで詳細な開示をすべきか

現状のIFRSでは、P/Lの開示項目はかなりあっさりしています。

収益
売上原価
販売費一般管理費
研究開発費 
金融収益
金融費用
持分法による投資純利益
税金費用

大体このような項目が表示され、日本基準よりも集約されていることが多いと思います。しかし、注記などでの開示情報が非常に多いため、IFRSでの開示情報のボリュームはかなりのもの、印象を持っている方は多いですし、実際にそうだと思います。

それがIFRS流の開示、とこれまでは思われてきましたが、今ではそれが「いいやり方ではない」という意見が主流となっています。

有用な情報は、財務諸表本表にわかりやすい形で開示されるべきだし、情報開示を充実させるべきであるからといって、やみくもに注記でなんでも開示すればいいというのはかえって、重要な情報が埋もれてしまってわかりにくく、財務諸表利用者に誤解を与えるのではないか、と改めることが必要と考えられています。

そのような反省が現在進行している基本財務諸表プロジェクトの根幹にはあります。

最近のIASB会議では特にP/Lの表示について多くの検討が行われていますが、いろいろな国のいろいろな業種のP/L表示についての原則を示すことはなかなか難しいところです。

2019年2月のIASB会議では、過去に決定していたP/L項目の集約、分解表示の原則を変更することになりました。

過去の会議では

(a) 類似の性質の情報をグループに分類する
(b) その情報が理解可能で忠実な表現となるように、グループごとに情報を集約または分解する
(c) 注記では、IFRSの開示目的と開示要求に適したレベルで情報を要約する

という原則が支持されていました。「理解可能」で「忠実な表現」となることを判断基準となっており、これでは実務で機能するものなのか不安に感じる方も多いと思います。実際、その後の会議では、

  1. 個々の取引または他の事象の影響を、資産、負債、資本、収益および費用に分類する
  2. 資産、負債等を、特徴に基づいてグループに区分し、基本財務諸表において少なくとも1つの特徴を共有する行項目を表示する
  3. 基本財務諸表に表示する行項目を、追加的な特徴に基づいて区分し、項目に重要性がある場合には、注記において区分開示する

という3つのステップとして示すことになりました。

財務諸表は大量の取引と事象によって生成されますが、個々の取引や事象レベルの情報は有用ではありません。これらを資産、負債等の財務諸表の構成要素に分類し、財政状態や経営成績に関する情報提供を行うことになります。しかし、資産、負債等の総額だけでは情報としては不十分であって、財務諸表利用者はその総額にどのような項目が含まれているのか、情報提供が求められています。

今回支持されたステップには、財務諸表の開示項目、注記が、財務諸表利用者の要求に応えているか評価が必要であるという基本が強く意識されていると思います。

では、具体的にどの程度詳細に項目を分解すべきなのかというと、もう少し今後の議論も見て考えていくべきところですが、日本基準で行われているような項目で開示する企業もあればもう少し細かく開示する企業もある、くらいのレベルになるのではないかと私個人はイメージしています。

今後ディスカッション・ペーパーや公開草案が公表される段階では、よりはっきりわかると思いますが、このような過程での議論を知っておくとより、理解が深まるところだと思います。


イージフ 野口由美子