2017年4月3日月曜日

IFRS17号、最後まで議論された保険契約の問題点とは

こんにちは。イージフの野口です。保険契約の新基準、IFRS17号は2017年5月公表予定となり、長いプロジェクトも終わりを迎えようとしています。

プロジェクトを通じて、何かと議論になってきた、見積りの事後的修正をどう扱うか、という問題は、長い審議の中で、考え方が変化していきました。その中、2017年2月のIASB審議では基準書公表直前で、これまでの合意事項を覆す決定がありました。これは注目に値することだったのではないかと思います。

新しい保険契約基準では、ビルディング・ブロック・アプローチが採用されています。ビルディング・ブロック・アプローチでは、保険契約から生じる将来の収益を見積り、保険契約期間にわたって認識します。これは、IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」の考え方を保険契約にも適用しようというものです。

そこで、保険契約から生じる企業の将来の収益をいかに測定するかということが重要になります。ビルディング・ブロック・アプローチでは、保険契約から生じる正味の将来キャッシュ・フローの現在価値からリスク調整(契約の履行につれて生じるキャッシュ・フローの額や時期の不確実性を負担することにより企業が追加的に要求する対価)を控除したものとして、契約上のサービス・マージンと呼ばれ、企業の未稼得の利益とされています。

多くの見積りに基づいて契約上のサービス・マージンは測定されるので、見積りと実績の差や見積りの変更を行った場合の調整をどうやって認識するかということが問題でした。純損益として、当期のP/Lに反映させるべきか、契約上のサービス・マージンとして、将来にわたってP/Lに反映させるべきか、それとも?

2010年の公開草案から考え方も変わり、さらに2013年再公開草案後も変更がありましたが、最終的には

非金融リスクから生じる将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りの修正について、契約上のサービス・マージンを調整します。

その他の修正は、純損益として認識します。

ここでの基本的な考え方は、将来のサービスに関連するかしないか、という区分になります。たとえば、死亡率や契約失効率等の当期実績と直近の見積りの差については、当期のキャッシュ・フローに影響を与える部分は純損益として認識し、見積もりの差が将来キャッシュ・フローの見積りに影響を与える部分は契約上のサービス・マージンとして認識することになります。

IFRS17号は、保険契約の収益に関する見積りを適時見直し、現在のリスクや不確実性を反映する会計基準です。今後、保険業界の各規制にも影響を与えるのではないかと考えられてます。


イージフ 野口




0 件のコメント:

コメントを投稿