2016年11月7日月曜日

会計方針の変更、実務のばらつきが問題に

こんにちは。イージフの野口です。今回は最近のIASB会議の中で、IAS8号に関する議論を紹介しようと思います。

IAS8号の適用については実務上のばらつきが生じているというIFRICからの指摘が発端となり、IAS8号の改訂が検討されることになったのですが、当初はもっと簡単な扱いで対応されることが想定されていましたが、個別のプロジェクトとして扱われています。

実務上でもよく問題となると思いますが、会計方針と会計上の見積りのどちらに該当するのかという判断が現行基準の定義では判断が難しいのです。今回は主に定義に焦点を当てて審議が行われています。

会計処理を変更する時、会計方針に該当するか、会計上の見積りに該当するかによって、対応は大きく変わります。会計方針に該当する場合、変更はより難しくなります。変更した会計方針を遡及適用することも必要です。

IFRICからの報告では、棚卸資産の評価方法や公正価値評価の手法などにおいて、どちらに該当するか、企業によって判断に違いが生じているということでした。

そこで、会計方針と会計上の見積りの変更について定義が変更されることになりました。

・会計方針の定義(案)
企業が財務諸表を作成表示するにあたって採用する特定の原則及び実務。

・会計上の見積りの変更の定義(案)
資産または負債に関する会計方針を適用する際に使用する判断または仮定の変更を引き起こす新しい情報(または他の新しい展開)から生じる、資産または負債の帳簿価額の調整。

区分をより明確にするための改訂ですが、文言はより簡潔になった印象です。この定義では、会計上の見積りは会計方針を適用するための手段という位置づけを明らかにしようとしており、現行基準から無駄な言葉が削除されています。

さらに、今回の改訂では、棚卸資産の評価方法は会計方針であることを明記する予定です。個別の問題について言及することには反対意見もありましたが、実務上の混乱を回避するために、必要と判断されました。このような具体的な内容は、ある程度時間が過ぎ、実務でも定着していけば、不必要になり削除されるかもしれません。IFRSは原則主義の会計基準として作られていますが、必ず原則主義が貫かれているかというとそういうわけではありません。その時々のニーズに対する柔軟な姿勢を感じられます。

その他、実務上注目したい議論に、会計上の見積りについて変更が可能となる条件を設けるべきかどうかという検討がありました。会計方針の変更には変更のための条件があります。さらにIFRS13号「公正価値測定」では、公正価値の評価技法の変更については条件が提示されています。公正価値の評価技法は会計上の見積りに含まれます。IFRS13号との整合性を重視して、会計上の見積りの変更についても条件が必要ではないかという意見がありました。

IASB会議の決定では、会計上の見積りの変更については、条件を特に定めないこととなりました。会計方針の変更よりも、会計上の見積りの変更は頻繁に行われることが想定されるため、実務上の煩雑さを軽減することが優先されました。

これらの決定に基づき、IAS8号の公開草案は2017年前半に公表される予定です。


イージフ 野口




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