2016年6月6日月曜日

のれんが計上される前に減損する?新アプローチにIASBの支持

こんにちは。イージフの野口です。このブログでも度々、IFRS3号「企業結合」の改訂に関するIASBの審議をご紹介してきていますが、最近の会議では新しい減損のアプローチが目玉となっています。

現行基準ののれんの減損テストに対しては非常に批判が多く、減損損失については、
「認識のタイミングが遅すぎる」
「金額が少なすぎる」
と言われています。この問題は、そもそも最初に計上されたのれんの金額が多すぎたのではないか、という疑問につながっています。買収価格が高すぎたためにのれんの金額が大きくなってしまい、後になって、多額の減損損失を認識する羽目になっていると考えられています。

買収価格が高すぎる部分をのれんと切り離して、取得時の損失として別途認識するべきではないか、というアイディアのもと、新しい減損テストのアプローチが提案されています。IASBではこの新アプローチが支持され、さらに詳細な検討に入る段階です。

簡単に言うと、新アプローチでは企業取得時にのれんの減損テストを行います。しかし、これは通常の減損テストとは少し違います。この減損テストでは、取得企業の保有資産が重要になります。

どういうことかというと、そもそも、現行基準ののれんの減損テストでは、のれんを資金生成単位(またはそのグループ)に配分した上で減損テストを行います。のれんそのものの価値を測定できないので、この配分手続きは必要不可欠です。しかし、配分先の資金生成単位を構成する、取得企業の保有資産の帳簿価額が低く、回収可能価額を下回っていると、この差額が「バッファー」となり、のれんの減損を回避する効果が生じます。

そこで、企業取得時に、この「バッファー」部分を排除した形でのれんの減損テストを行い、減損損失を認識することで、のれんが過大計上されることを防ぎます。

この新アプローチによるのれんの減損テストは以下の4ステップになると考えられています。
  1. のれんの配分先となる取得企業の資金生成単位、もしくはそのグループを識別する
  2. バッファー」を算定する(取得による影響を除外した状態で、取得時点における資産の回収可能価額を算定し、帳簿価額を超える部分が「バッファー」となる)
  3. のれんと被取得企業の資産を関連する資金生成単位(またはそのグループ)に配分する
  4. 各資金生成単位の回収可能価額をAからCの合計と比較し、回収可能価額の方が低い場合、その差額を減損損失として認識する

A配分された被取得企業の資産およびのれんの金額
B取得企業が保有する資産の帳簿価額
Cステップ2で算定した「バッファー」

斬新なアイディアで、現行基準ののれんの減損テストと流れは同じように行える点が評価されています。ただし、「バッファー」を算定する作業が追加され、実務上実行可能なものなのか、まだ疑問もあります。このあたりの議論はこれからなので、実務的な問題が検討されていく中で、このアプローチはもっと洗練されていくことになると思います。


イージフ 野口

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