2016年2月1日月曜日

新収益認識基準、コンバージェンスとは何だったのか

こんにちは。イージフの野口です。新収益認識基準であるIFRS15号「顧客との契約から生じる収益」は、基準書が発効する前に改訂されるという異例の対応が行われています。改訂といっても基準の内容を明確化するものでもともとの内容を大幅に変更するものではありませんが、今までこのような改訂が行われることはありませんでした。

2015年中に明確化についての最終基準書が公表される予定でした。公表を待っていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。しかし、まだ基準書は公表されておらず2016年第1四半期に公表予定と、スケジュールが遅れています。

とはいえ、もう公表までIASBの審議も最終段階に来ています。最終段階となると、後回しにされていた細かい論点や適用時期、移行措置などの議論が中心ですが、審議を見ていると理事の「想い」が語られている時間が長いのです。通常はあまり見られない光景です。

コンバージェンスをより追求すべきだったとする意見、米国基準と違いがあるのは仕方がないと受け入れる意見、両者のゴールが違うのだから違いが生じて当然とする意見など、様々な意見が交錯していました。

そもそも、今回の改訂は移行リソース・グループからの指摘を受けた問題に対処するために進められてきましたが、FASBIASBとの間で対応の違いが目立ちました。FASBは改訂によって基準がより良くなることは望ましいとして積極的な姿勢でした。一方、IASBは頻繁な改訂は基準書の安定した運用を阻害するとして改訂には消極的でした。FASBが改訂する決定を行っていく一方で、IASBは変更を行わないとする判断をする場面がたくさんありました。

このような決定の根底には、文言が違っても実質的に同じ内容を規定しているのであって、実質的なコンバージェンスは達成できているという見方があります。基準書が一言一句同じでなくても、同じ規定を定めようとしているのが現在の方針となっています。


IFRSと米国基準がコンバージェンス達成へ向かっている流れ、かつては感じられましたが、今はそうでもなくなってしまったという印象を持たれている方は多いと思います。しかし、それでもコンバージェンスが重要でなくなってしまったわけではありません。これから審議が本格化する企業結合はFASBと共同で改訂を進める予定となっています。

IFRSの基準設定について、かつてはヨーロッパから圧力を受ける場面が見られましたが、今は米国との関係が大いに影響しています。それだけでなく、中国などの新興国もより重要な存在になってくると思います。IFRSがどのように作られていくか、今年も注目していきたいと思います。


イージフ 野口

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