2015年12月7日月曜日

企業結合、基準書改訂は短期、かつ長期に

こんにちは。イージフの野口です。前回の記事に引き続き、今日は企業結合についてのIASBでの議論をご紹介したいと思います。

企業結合は、最近新たにIASBで審議が始まりました。2015年9月の会議ではFASBと合同でこのトピックについて話し合われ、FASBの現時点までの取り組みや今後の方向性について確認されました。企業結合については、事業の定義、のれんと減損という2つの問題が認識されており、これらは別々のプロジェクトとして進められることになっています。

この会議では、IASBとFASBは、できるだけ統一した基準になるように改訂を進めるべきであることが確認されていましたが、会議の様子を見ていた私の印象は、どこまで統一できるかは難しく改訂には時間がかかるだろうというものでした。

10月のIASB会議では、私の予想は半分はずれ、半分当たりました。

事業の定義については、意外とすんなりと話が進んでいます。事業の定義はすでにFASBでは改訂の議論が進んでおり、近々公開草案が公表される段階まできています。IASBはFASBの改訂案を採用することを決定しました。そして、FASBに後れを取らないように、ディスカッション・ペーパーを省略し、公開草案を公表します。

9月にFASBと合同で審議を行った時にはIASBとFASBは事業の定義があいまいであり明確にするという方向性は同じでしたが、問題意識に違いがありました。たとえば、現行のIFRS3号では事業は、「投資家もし くはその他の所有者、構成員又は参加者に対し、配当、低コスト又はその他の経済的便益という形でのリターンを直接的に提供する目的で実施され、管理されることが可能な、活動及び資産の統合された組合せ」とされています。IASBでは、「(市場)参加者」、「可能な」という言葉が定義をあいまいにしているという問題が認識されていましたが、FASBでは特に問題とされていませんでした。

このような問題意識の違いはどうやって解決されるのか。IASB独自にこの問題への対処を行うのではなく、FASBの改訂案の中でこれらの問題を解決できるか検討することで解決が図られました。事業の定義については米国基準と統一された形で早期に改訂作業が進められそうです。

一方、のれんと減損については、10月の会議においてもまだ何も決まっていない状況です。のれんを償却する、減損の手続きを簡単にする、という2つの案に対して支持が比較的多く表明されていましたが、1つに決定できる段階ではまだないようです。従来ののれんの会計処理(償却をせず減損を適用する)を根本的に変更すること(即時に損益認識することや償却すること)を積極的に支持する意見は少ないものの、減損の手続きを簡単にすることも現実には難しいという見方が多いようです。のれんと減損は時間をかけて検討されることになると思います。

企業結合はこれからIFRSを適用する(もしくは、かもしれない)企業にとっても重要な問題です。今後のIASB会議でも大きなトピックとなると思いますので、審議の動向を追っていきたいと思います。


イージフ 野口


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