2015年9月7日月曜日

IFRSの持分法が変わる:一行連結か測定方法か

こんにちは。イージフの野口です。今回は持分法についてIASBでの最近の動向をお伝えしたいと思います。IASBでは、持分法の意義を根本から問い直そうとしています。

2015年8月にIFRS10号「連結財務諸表」、IFRS28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の改訂(2014年9月公表の「投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出」)について発効日を無期限に延期する発表をしています。これは今後リサーチ・プロジェクトで持分法の会計処理を検討する決定がなされたことに付随して決まったもので、持分法の会計処理を見直すことが計画されています。これからのプロジェクトで持分法についての改訂が行われることとなったので、2014年9月の改訂との二度手間を避けるため、無期限の延期となったのです。

今回のリサーチ・プロジェクトは興味深い内容となっています。今回の検討の対象は持分法の会計処理となっています。焦点となっている問題は持分法とは何なのか、ということです。持分法は一行連結である、という考え方があります。私が会計を始めて勉強した時はそう習いました。しかし、IFRSでは関連会社等は連結の範囲に含まれていません。連結の範囲ではないから、連結会計を適用しないという規定になっています。当時の私は、連結の範囲に含まれていないから持分法を適用する、と習いましたが、そもそも連結の範囲に入っていないのに持分法として一行「連結」することはおかしいのではないか、という指摘があります。また、持分法は一行連結ではなく、投資の測定方法であるという考え方もあります。しかし、IFRSの中では持分法を測定方法として明確に位置付けているわけではありません。

持分法はこのような理論的な問題もありますが、実務的な問題もあります。持分法を適用する関連会社等は連結の範囲に含まれていないですし、投資者が関連会社等に与えられる影響力があまりない場合が多く、親会社と子会社の関係のようにはいきません。持分法の会計処理に必要な情報を関連会社等から入手することは簡単ではないですし、関連会社等が会計方針や決算期を統一することも難しい場合が多いのです。持分法の会計処理自体を簡便になってほしいという要請は以前からあります。上記の議論で持分法の位置付けが変われば、簡便化の方向性がより広がってくると思います。また、持分法の持分法が一行連結でないとしたら、会計方針等を統一する理論的根拠もなくなり、統一する必要がなくなることも考えられます。

このように今のリサーチ・プロジェクトの問題意識を理解すると、そもそも現在の持分法は根深い問題を抱えていることに気づきます。これからのIASBの審議でどのような議論が展開されるのか注目したいと思います。



イージフ 野口

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