2014年6月2日月曜日

2014年5月21日Nikkei Asian Reviewより

イージフの野口です。今回は日本とIFRSについての新聞記事を取り上げたいと思います。


2014年5月21日のNikkei Asian ReviewにIASBの鶯地隆継理事の寄稿記事が掲載されました(日本経済新聞の2014年5月12日朝刊の経済教室にも同様の記事が掲載されていますので、そちらをご覧になった方が多いと思います)。


 


この記事では、


○IFRSの強制適用は100カ国を超える


○統一基準は企業の国際再編や提携の土台に


○出遅れなら日本の実態に沿わぬ実務慣行も


というポイントを説明し、このままIFRSの適用が進まなければ日本市場が孤立してしまいかねないことを指摘しています。最後の一文にある「これ以上時間を空費している余裕はないのである」という言葉は日本の現状に対するもどかしさが表れているように感じます。


この記事に対する感想はさまざまなようです。全くその通り、という賛成意見がある一方で、反対する意見もあります。反対する意見の主な主張はIFRSの基準としての不完全さ、にあるように思います。IFRSがムービングターゲットと言われるように改訂を続け、まだ基準として不安定な状態にあることや、特定の基準書の規定が日本の考え方と違っており、その点をもってIFRSが基準として間違っているとする考えもあるようです。


確かに反対意見の指摘はその通りだと思います。IFRSはこの数年の間で大きく変わり、今もまだ変わり続けています。その変わりようは、IFRSが今後どうなっていくのか不安になるくらい、大きなものです。特定の基準書の規定を考えてみても、日本の実務慣行とは違う観点から定められているものもあり、日本基準に比べて分かりにくかったり使いにくかったりということもあります。こういう点をもって、日本基準の方がIFRSより優れているという意見は、ある意味正しいと思います。


しかしこれらの意見からは、日本市場が孤立してしまいかねないという問題に対する答えが見つかりません。企業活動が日本国内だけですべて完結するのであれば問題ないのですが、現実はそうではありません。


IASBの会議を傍聴するようになって、特に感じるのは寄稿記事のポイントの3つ目に挙げられていた、日本の実態にそぐわない実務慣行が世界で広まってしまうのではないかという懸念です。IFRSは広く世界から意見を集めIASBの会議で基準が定められています。世界各国からの意見が交わされる中、このまま日本がIFRSを適用しないでいると、日本が蚊帳の外になってしまうのではないかと感じてしまいます。IFRSは確かに不完全であったり、日本基準の考え方とは違ったりする部分もありますが、そういった問題も日本が自ら意見発信することによって、IFRSがより良い基準となるよう貢献していくことができるのではないかと思います。


米国はIFRSを適用していませんが、IASB理事には米国から選出されている方も複数いますし、FASBとIASBは合同で基準を開発しています。米国はIFRSが自分たちの信じる「より良い基準」になるよう働きかけをしています。日本は米国に追随しているようで、そこまでの影響力を持てていないと思います。


このような話も別に今に始まったことではなく、目新しい話題ではないです。議論は進まず、年月だけが過ぎている状況に改めて気がつかされます。実際のところ、日本では、現状維持でIFRS任意適用企業が増えてIFRSが実務に定着していく、という大変緩やかな路線が現実的なところのように思います。しかし、それで本当に良いのか。会計基準という分野についても世界から見て日本の現状がどうなのか、ということは気にしなければならないと思います。


イージフ 野口由美子


 



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