2012年8月8日水曜日

ヘッジ会計改訂の最新動向

イージフの野口です。今回はヘッジ会計の最新動向について紹介したいと思います。

ヘッジ会計はすでに紹介した金融商品の減損についての審議と同様に改訂の審議対象となっており、ずっと審議が続いています。改訂の焦点となっていたのは、ヘッジ会計の簡素化です。IAS39号に規定されているヘッジ会計は米国基準がベースとなっており、非常に複雑で細かいものとなっていました。

どのようにヘッジ会計は簡素化されたのか。2010年に公開草案が出ています。公開草案の主な論点は過去の記事を参考にしてください(IFRSヘッジ会計はどう変わったか ①IFRSヘッジ会計はどう変わったか ②)。今回はこの公開草案が基準として公表されるにあたって変更されることになっているポイントについて紹介します。

1. マクロヘッジ(ポートフォリオヘッジ)は別途審議を行う
ヘッジ会計の中でも少し特殊なポートフォリオヘッジヘッジについては、今回の公開草案のヘッジ会計の目的に合いません。しかし、実際にはポートフォリオヘッジは実際に行われているので、その実態に合った会計処理が必要となります。そこでポートフォリオヘッジについては今回の公開草案の内容から除外し、別途見当されることになりました。ポートフォリオヘッジは一般の事業会社ではなじみがあまりないかもしれませんが、金融機関などでは行われているヘッジなので、金融機関には大きな影響があるポイントとなります。

2. ヘッジ会計の有効性評価方法
ヘッジ会計の要件を満たすためには、有効性が確認されていなければなりません。現行のIFRSや日本基準では85%から125%という具体的な数値基準が示されていましたが、それを廃止することを公開草案では提案していました。しかし、代わりの有効性の基準があまりにも曖昧であったため、要件が細分化されるとともにより具体的な内容になりました。

変更された要件について説明します。


要件は以下の3つですべてを満たしている必要があります。
・ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係があること
・ヘッッジ手段とヘッジ対象の数量に基づいて、ヘッジの非有効部分を意図的に生じさせるようなヘッジ対象とヘッジ手段の比率(ヘッジ比率)が生じないこと
・経済的関係から生じる価値の変動が信用リスクによる影響によって大部分を占められていないこと

これらの要件は従来のヘッジ会計の有効性評価から数値基準がなくなったものと捉えられます。従来は数値で一律に判定していましたが、ある程度柔軟な判断が可能となると考えられます(そうはいっても、実務上は、従来と同じ数値基準で判断することになる場合が多くなることも想定されますが)。

3. 為替予約のフォワードポイント(直先差額)の会計処理
公開草案では、オプションの時間的価値についての処理が新しく提案されました。従来は、時間的価値(将来の価格の変動により利益がどれだけ増えるかという期待)については、本源的価値(オプションの権利行使価格と原資産価格の差額)と切り放す場合は、ヘッジ会計を適用することは認められていませんでした。新しい提案では、時間的価値についてもヘッジ会計を適用することができます。この考え方が為替予約の会計処理にも適用されることが決定しています。為替予約の直先差額についても、ヘッジの対象が本源的価値と時間的価値を別々に考えます。本源的価値のみをヘッジしているとする場合は、直先差額を期間按分し損益として認識します。その後の為替予約の公正価値の変動はその他の包括利益に認識します。

変更の内容をみてみると公開草案の内容をより明確に具体化したものが多いと思います。今年中には基準書が公表される予定です。新しいヘッジ会計は一般事業会社にもヘッジ会計が適用しやすいものになっていると思います。マクロヘッジについてはこれから審議が本格的に始まることになっています。こちらは主に金融機関が影響を受けるところですので、金融機関の方は注目しておくべきではないでしょうか。



イージフ

野口由美子



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