2011年8月22日月曜日

業種別IFRSの解説-建設業-

イージフの野口です。


IFRS導入の影響は企業によってさまざまなので、その対応方法は一様でないところが難しいところです。そこで、IFRS適用上大きな問題となるポイントを業種別に解説します。
今回は建設業を取り上げます。

収益認識
建設業では現在の日本基準のもとでは、原則工事進行基準が採用されています。IFRSでは、収益認識の基準が改訂されるに伴って、工事進行基準の取り扱いがどうなるか注目されていました。新しい収益認識の基準では、支配の移転をもって顧客に対する義務を履行したと考えるので、建設業の場合、顧客に完成した建物を引き渡す時点まで収益認識がはできないのではないか、工事完成基準しか認められないのではないかという議論がありました。

結論としては、工事進行基準そのものは確かに廃止されるのですが、ほぼ工事進行基準に近い収益認識の方法が一般的に採用されることになります。新しい基準では支配の移転が重要な収益認識のポイントとなるのですが、客先のサイトで建物を建設しているような場合、完成途中の建物も顧客の支配にあると考えます。なので、継続的に支配がしているために、工事のインプットやアウトプットに基づいて収益を認識するものとされています。

JV(ジョイントベンチャー)の処理
建設業の特殊な会計処理としてJVの取り扱いがあります。JVは高層ビル等大規模な工事を複数の企業が共同で行なう場合に一時的に作られる組織体です。日本基準のもとではJVという組織のもとで工事を行なう場合であっても、あたかも単独で工事を行なっているかのように処理します。簡単に言うと、工事の原価や収益のうち出資比率分だけを自社の分として計上していきます。

しかし、IFRSでは、このような処理は認められません。JVも子会社等他の事業体と同様に取り扱い、連結や持分法の範囲に含められるか検討することになります。ここで問題になるのは会社がJVを支配しているか、ということになります。有効な支配を有している場合は子会社となります。実際多くのJVについては、特定の会社の支配ではなく、共同支配が認められる可能性がありますが、この場合は基本的に持分法が適用されると考えられます。
このようにJVについては連結や持分法といった処理が必要になるため、財務数値への影響も大きく、業務上の負担も重いものとなります。

借入費用
借入費用の資産化は日本基準にはありませんが、建設業に影響があると考えられます。IFRSでは、適格資産の取得にかかる借入についての費用は資産の原価に含める必要があります。この適格資産というのは、意図した使用、販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産のことになります。相当の期間がかかる、ということで、かなり大規模な資産を想定しているわけですが、建設会社は自ら借入を行なって資金を調達し、工事を実施していると考えることができるので、借入費用が工事原価に算入する場合があります。

実際の適用にあたっては、借入と工事を紐付けなくてはなりません。借入時に特定の工事に直接結び付いている場合には簡単ですが、特にそういった関係性がなく資金を一元で管理しているような場合は、識別が難しくなります。IFRSではこのような直接的な関係がない場合であっても、適格資産の取得に使用した範囲を算定することを求めています。具体的には、当期の借入金残高に対する借入費用の加重平均を適格資産の取得に要した支出に乗じて算定します。

ここでは主要な論点を取り上げましたが、IFRSが建設業にあたえる影響は、本業のビジネスの業務に直結しており、非常に大きいものです。システム面での対応を含め、いかに効率的な業務を構築できるかが重要な課題になると思います。


 


野口由美子



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