2011年6月6日月曜日

日本のIFRSに対する姿勢

イージフの野口です。


日本がIFRSを適用すべきか否か、という議論はいろいろなところでなされるようになりました。多くの方が感じられているかもしれませんが、IFRS反対派の意見も根強いように思います。確かに、始めからIFRS適用ありきで話が進められるべきではなく、いろいろな角度から議論がなされるべきだと思います。あまりにも、いろいろな意見が出てきてしまって、今の日本の方向性がよく分からなくなってしまうこともあり、ここで、金融庁が示している日本のIFRSに対する姿勢を再度確認しておくことが必要ではないでしょうか。

まず、平成21年6月に公表された「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」で日本がIFRS に移行すべきという基本的な考え方が示されました。ここで、2012年頃に上場企業の連結財務諸表に強制適用することの是非を決定するということが明示されています。2012年の判断後、十分な準備期間をとった後に強制適用となるとしており、それが2015年または2016年ということになっているわけです。
2012年の判断にあたっては、以下の課題の達成状況を見極める必要があるとされています。
・IFRSが日本の企業の実態を適切に反映したものになっているか
・日本の会計関係者がIASBに積極的、効果的に意見発信を行なっているか
・IFRSが迅速に日本語に翻訳されるようになったか
・IFRSの教育・研修が十分に行なわれているか

これらの課題のうち、1点目はIFRS側の問題でもあると思います。実際IASBでもその問題については認識されているようです。実際にIFRS9では日本の企業実態を反映するために、持ち合い株式について公正価値による評価差額をその他の包括利益で認識するというオプションを用意しています。これは日本のため(日本以外の国にとってはあまり問題にならないのではないでしょうか)の改訂といえます。

2点目以降は、日本国内での取り組みが重要となってきます。特に教育の問題は非常に重要かつ深刻な問題だと思います。企業でも監査法人でもIFRSに対応できる人材はまだ十分ではないのではないでしょうか。日本基準とIFRSでは、全く考え方が異なるのですが、その異なる考え方をベースに話ができていると感じられることは私自身あまりありません。人材の育成というのは、時間がかかるもので、継続した取り組みによりようやく身を結ぶことになりますが、手間を惜しんではいけないと思います。

2010年3月期末からIFRSの任意適用もすでに認められていますが、IFRSの法的位置付けは、連結財務諸表規則に定められています。連結財務諸表規則では、「金融庁長官が指定する国際会計基準に従うことができる」とされ、金融庁長官による指定の要件というのは、以下の4点です。
・内容が明確な基準案が予め広く周知されている
・関係者間で適切な議論が行なわれている
・多数の関係者が経済的実態に適合した合理的な内容と評価されている
・公正妥当な手続を経て作成および公表されている

このような要件を満たしていないIFRSというのは基本的にはないわけで(IAS39の一部の改訂内容については、満たしていない可能性があると思いますが)、IFRSがそのまま日本で適用されることになります。実際、現在日本では全くカーブアウトはされていません。

このように金融庁の説明をみている限り、日本はすでに後戻りもできない状況にあるという印象を受けます。現在認識されている課題のうち、教育は最も重要だと思いますが、合わせていかに日本に根付かせるせるのか、というところはもっと多く議論がなされるべきではないでしょうか。


 


野口由美子



0 件のコメント:

コメントを投稿