イージフの松岡です。
すでに新聞報道等でご存知の方も多いと思いますが、6月21日に自見金融担当大臣からIFRS強制適用に関して発言がありました。発言の要旨を確認すると以下の2点になります。
”IFRS適用については、「中間報告」以降の変化を踏まえつつ、企業会計審議会における議論を6月中に開始する。”
”少なくとも2015年3月期についての強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であってもその決定から5-7年程度の十分な準備期間の設定を行うこと、2016年3月期で使用終了とされている米国基準での開示は使用期限を撤廃し、引き続き使用可能とする。”
2009年6月に企業会計審議会から公表された「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」では、IFRSの強制適用について以下のように述べられていました。
”IFRSの強制適用については、2012年を目処に判断すること(2012年に強制適用を判断する場合には、2015年または2016年に適用開始)。”
この文言からIFRSの強制適用は、早ければ2015年3月期から開始すると解釈されていたわけですが、今回の大臣発言によりその可能性は否定されました。ただ、企業会計審議会での議論は、今月から開始されて年内いっぱいまでかかるとのことなので、最終的にどういう結論が出るのかはまだ不透明です。今回の発言の背景には、5月に産業界からの「要望書」や、SECのIFRS適用に関する作業計画案の公表があったことが挙げられています。
私たちのようなIFRSコンサルを手がけている立場からすれば、企業のIFRSへの取り組みが中断したり、進行が遅くなったりと決して歓迎できるニュースではありません。しかし、あくまでもIFRS適用を延期するという話であって、中止するわけではないので、今まで培ってきたノウハウや経験は無駄にはなりません。またそれは、既に準備を進めてきた企業にとっても同様です。
いずれにせよ今年のSECの決定がますます気になります。もしSECが、先月のスタッフペーパーで提案されたようなコンドースメントという名のコンバージェンスを採用するならば、2012年の日本の判断はさらに先送りされる可能性が高いでしょう。
松岡 佑三
“IFRS 適用に関する検討について”2011年6月21日 金融担当大臣 自見庄三郎