2011年5月10日火曜日

IFRSの導入とは何を指すのか

イージフの野口です。今回は、海外でのIFRSの適用方法についてご紹介したいと思います。

IFRSはすでに100カ国を越える国で導入されている、という話を聞いたことある方は多いと思います。現実にそれだけ多くの国で使われているIFRSは、正に世界共通のグローバルな会計基準としての役割を果たしているわけです。

ただ、意外と知られていないのがその導入の仕方です。IFRSを導入している国がこれだけたくさんあるわけですが、すべての国がIFRSをそのまま受け入れているわけではありません。確かに、多くの国では、完全なIFRSをそのまま自国で適用することを目指しています。それは、IFRSが「世界共通言語」として機能するために、必要なことです。しかし、各国それぞれが固有の問題や事情を抱えていることも事実で、そのような問題に対処するには、IFRSだけでは不十分ということもあります。そのため、以下のようなアプローチを採用している国があります。

コンバージェンスによるIFRS導入
これは、IFRSをそのまま受け入れるのではなく、自国の会計基準の中にIFRSを取り込んで行くということです。この方法を採用している国に中国などがあります。中国では新企業会計準則として、IFRSとほぼ同等な会計基準を設定しています。ただし、あくまでも中国の会計基準であり、一部についてはIFRSと相違があると考えられています。

エンドースメントによるIFRS導入
この方法は各国の規制当局がIFRSの各基準のうち、承認したものだけを自国で適用するというものです。IASB(国際会計基準審議会)が公表したIFRSをそのまま承認するケースもありますが、自国の言葉に翻訳したものが承認されるケースもあります。また、基準書の内容自体を各国の事情に合わせて修正して承認している場合もあります。
この方法を採用している国の例としては、EU各国があります。EUでは各国が承認手続の各段階で、承認しない(カーブアウトと言われます)という結果になる前に、IASBに基準書の方を変えるよう働きかけを行なうこともあります。
またオーストラリアの場合は、また違ったエンドースメントの方法をとっています。オーストラリアではIFRSをそのままの形で承認するというのではなく、オーストラリアの制度に合わせた規定をさらに追加して承認手続を行なっています。

ここでは2つの方法を紹介しましたが、一口にIFRSを導入していると言っても、IFRSに対する姿勢は国によって違うことが分かると思います。
それでは日本におけるIFRSの導入はどういう方法になるのか、ということが問題ですが、金融庁の説明によると、日本において承認を行なうものの、IFRSを完全にそのまま導入することになるようです。日本では金融庁長官が指定を行なうわけですが、その指定の要件は、EUの手続よりかなり迅速な対応が可能な形になっています。本当に日本でもIFRSが採用されることになったら、EUなどの国よりもIFRSの適用が「進んでいる」状況になると思います。

このような導入方法の違いは、各国の規制当局がどのような役割を担うことで、自国の利益を守るかという根本的な問題への取り組み方の違いによると思います。日本はIFRSを完全に自国に適用していくことで、日本のIFRSに対する発言力を強化しようと考えているのかもしれません。日本は、IFRS適用を決定すれば、一気にIFRSに対して「進んだ」国になろうとしているのです。


 


野口由美子



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