2011年1月17日月曜日

IFRSヘッジ会計はどう変わったか ②

2010年12月、IASB(国際会計基準審議会)はヘッジ会計についての公開草案を公表しました。

この公開草案の中でも特に注目すべき点について説明していきたいと思います。前回の記事では、ヘッジ会計のモデルと公正価値ヘッジの扱いについて紹介しました。今回はその他にも実務上特に影響があると考えられるところを取り上げたいと思います。

ヘッジ対象
従来のIFRSではデリバティブはヘッジ手段には指定できるものの、ヘッジ対象にすることはできませんでした。また、ヘッジするリスクは非金融項目全体を指定しなければなりません。
しかし、今回の改訂では、デリバティブもヘッジ対象とすることができます。デリバティブとデリバティブでない商品の組み合わせや、一部分や一定割合といった部分的な適用も可能となります。また、リスク構成要素については、金融項目または非金融項目のどちらでもよく、契約で特定されている必要もありません。
この点について、外貨建てで変動金利の借入金を例に考えてみます。この借入金には、為替リスクと金利リスクがあります。企業によっては、為替と金利のリスクを一緒に借入期間全部についてヘッジしようとするかもしれませんが、為替については全期間レートを固定して、金利については全期間を固定するのではなく、短期で見直しを行なう(利息を固定するのは借入期間より短くする)ということを行なう場合も考えられます。公開草案の提案では、このような場合も、それぞれのリスクに対してヘッジ会計を適用できるようになります。

ヘッジの有効性テスト
ヘッジの有効性テストというのは、ヘッジ対象とヘッジ手段がきちんとヘッジ関係にあること(ヘッジ対象の価値などの変動がヘッジ手段によって相殺されている関係にあること)を検証することです。ヘッジ会計を適用する時と、その後ヘッジ会計を中止するまで継続して行なわなくてはなりません。
このテストについては、従来は将来に向かうものと遡及的なものと両方の評価が必要でしたが、公開草案では将来に向けて行なえばよいものとされています。また、これまでの80%から125%という数値基準は廃止され、このような数値や方法は定めないことになります。
特に80%から125%という基準は現在の日本基準でも採用されていますが、近年経済環境の急激な変化が突然起きる影響もあって、この基準から外れてしまうヘッジは意外に多かったのではないかと思います。この数値基準自体には理論的な裏付けはなく、廃止されることになりました。

このように、ヘッジ会計は簡素化され、より柔軟な対応ができるようになりました。銀行等の金融機関においては特に恩恵を得ることができると考えられますが、一般事業会社においても、ヘッジ活動を行っているケースは意外と多く、影響があるのではないでしょうか。


野口由美子


 



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