2011年1月11日火曜日

2011年、IFRSに何が起きるか

あけましておめでとうございます。昨年は非常に多くの方に当ブログを見ていただけるようになり、うれしく思っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。今年2011年は、IFRSにとっては非常に重要な年です。今年IFRSを巡って、以下のような重要なイベントがあるのです。

FASB(米国財務会計基準審議会)とのコンバージェンスが6月に完了予定
2002年のノーウォーク合意後、IASB(国際会計基準審議会)とFASBは、高品質な世界共通の会計基準の作成を目指してきました。その作業が今年の6月に完了となります。IFRSと米国基準とのコンバージェンスは、作業は難航し、金融危機等の世界情勢の影響も受けるなど、紆余曲折がありました。
これまで世界的に優れた会計基準というと米国基準を考えられることが多く、日本においても米国基準に対する認知度は高く、IFRS自体も米国基準に近い規定も多いことから、米国基準とIFRSの違いをあまり感じていない方も多いと思います。
しかし、IFRSと米国基準の考え方には隔たりもあり、その溝を埋めていくのは非常に難しいのです。例えば、公正価値評価という点に関して、金融商品の適用と考えると、米国基準では広くすべての金融商品を公正価値評価することを指向しますが、IFRSでは評価に一定の要件を満たすものについては公正価値による評価をしません。その上、IFRSでは公正価値で評価する金融商品であっても評価差額をその他包括利益とすることもできます。このような違いは、会計の理論的な背景の違いもありますが、アメリカ一国内で取り決めているのと世界中の国々との利害調整の結果では、会計基準が求める内容は異なってきます。
コンバージェンスは容易に達成できるものではなく、多くのプロジェクトでスケジュールの遅れも発生しましたが、プロジェクト間で優先順位をつけることで今年6月の完了期日は遅らせることなく進められています。特に、収益認識、リース、金融商品は抜本的な改正になる上に、IFRSを適用する企業のほぼすべてに、何らかの影響があると考えられます。これらの基準書の改訂も、今年の6月までに行なわれることになります。

アメリカのIFRS採用についてSECが意思決定
アメリカのIFRS採用の可否については、世界中から注目されているところです。アメリカがIFRSを採用することになれば、IFRSの発展に大きく寄与することになるでしょうし、その一方で今後のIFRSのあり方が変わってくることも考えられます。IFRSの採用にはコンバージェンスの完了が条件となっており、現在のIFRSにも影響を与えているとも言えます。
SECの姿勢としては当初よりIFRSに対して後ろ向きになったのではないかという、見解がありますが、必ずしもそういうことではないと思います。確かに、当初より導入のタイミングを後ろに伸ばそうとする印象を受けます。しかし、国際的な市場においてアメリカの地位をいかに維持、向上させるかということについて、IFRSを採用するという戦略は基本的に維持されていると思います。
また、日本は2012年にIFRS適用について最終的な決定を行なう予定ですが、それもこのアメリカの動向を見極めてから判断する、ということを考えてのことです。

IASBの議長を始めとするボードメンバーが任期終了
IASBは、デービッド・トゥイーディー議長など一部のメンバーは、今年の6月で任期が満了となります。再選はないので、後任の議長のもと新しい体制が構築されることになります。基本的には新しい体制においてもこれまでの姿勢が引き継がれることになると思いますが、議長が変わることは少なからず影響が出てきます。
現在のデービッド・トゥイーディー議長の在任期間にIFRSが急速に広まっており、これは議長の手腕によるところが大きかったのではないかと私は思います。多くの国にとって受け入れられる会計基準であるために、妥協できるところは妥協して、取り込んでいこう、という姿勢が感じられます。そのために、一方ではIFRSが本来採用している理論を歪めてしまっている部分もあるようにも思えます。しかし、このような柔軟性があったから、ここまでの急速な普及が実現したのではないでしょうか。このような状況を考えると現在のIFRSは少し本来(理論的に)あるべきIFRSとは違うものなのかもしれません。今後IFRSがどのような方向に進んでいくかは、新しいメンバーに託されていると思います。

このように2011年はIFRSにとってとても重要な年となります。当ブログでも今年もしっかり動向を追っていきたいと思います。
ところで、当ブログは私㈱イージフの野口が担当してきましたが、今後は弊社の会計士松岡も執筆陣に加え体制を強化していきます。というのも、私が今年は産休をいただくことになり、執筆者を増やすことでより幅広い情報発信を進めていくためです。私も休暇中、時々ブログを更新させていただきますし、松岡もすでに去年からブログの構想を練っています。さらに充実したブログを目指していきます。今後ともIFRS of the dayをよろしくお願いいたします。



野口由美子



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