2010年12月13日月曜日

IFRSヘッジ会計の公開草案

2010年12月、IASB(国際会計基準審議会)はヘッジ会計についての公開草案を公表しました。

ヘッジ会計についての改訂はIAS39号を置き換える金融商品のプロジェクトの一環として進められてきました。金融商品に関しては、金融資産の分類と測定、減損、そしてヘッジ会計が改訂の対象となっていましたが、特にこのヘッジ会計については改訂作業が大幅に遅れ、審議が難航していたものと考えられます。

ヘッジ会計とはそもそも何でしょうか。企業は直面するリスクを回避するためにさまざまな行動を行ないます。例えば、外貨建ての売掛金や買掛金等の債券や債務について、為替リスクの変動を回避するために、為替予約取引を行なうということは頻繁に行なわれています。また、変動金利の借入金について金利変動のリスクを回避するために、変動金利から固定金利に変換する金利スワップ取引を行なうこともあります。このような取引を行なったときに、原則的な会計処理をそのまま適用してしまうと、せっかくリスクを回避した効果が会計処理にはんえいできないことがあります。ヘッジ会計というのはこのようなリスク回避の行動を会計処理にも反映させていくために設けられた特別な会計処理です。

今回の改訂の目的はヘッジ会計の簡素化です。従来のIAS39号に規定されていたヘッジ会計は非常に適用が難しく複雑なものでした。

例えば、ヘッジ会計を適用するには、特別な処理を適用することになるために非常に厳しい要件をクリアしなければなりません。実際に企業が行なうリスクマネジメントの妨げとなっていたという批判がありました。その他にもヘッジ会計を適用する取引にはリスクを回避する関係性が認められなければなりませんが、適用時から継続してその関係性が認められなければなりません。そのテストも厳しい要件が定められており、ヘッジ会計が必要以上に制限されているという批判もあります。

ヘッジ会計の複雑性については、キャッシュ・フロー・ヘッジと公正価値ヘッジという2つの分類が問題にされていました。これは日本の会計基準にはない考え方です。IFRSでは何のリスクをヘッジするかという観点で、ヘッジ会計の処理を別々に定めています。キャッシュ・フローの変動リスクをヘッジする場合は、キャッシュ・フロー・ヘッジとされ、時価の変動リスクをヘッジする場合は、公正価値ヘッジと分類されます。それぞれ処理の方法が異なり、このような分類を設けることは非常にヘッジ会計を複雑にしていました。

このような批判を受け、IASBでは、新しいヘッジ会計を提案しました。この公開草案では、リスクマネジメントのための企業行動の目的に注目して、原則主義のアプローチを規定しようとしています。また、企業のリスクマネジメント活動が個々の資産や負債に与える影響が、財政状態や包括利益に適切に反映されることを目的としています。

この新しいヘッジ会計のモデルでは、企業のリスクヘッジを行なう目的に注目したアプローチとなっていて、個別の要件等は簡素化が図られています。さらに詳しい内容については、次回にご紹介する予定です。



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