2010年11月16日火曜日

米国SECがIFRS検討ワークプランの経過を報告

SEC(証券取引委員会)では2010年10月29日にIFRS適用のためのワークプランについての経過報告を公表しました。そもそもこのワークプランというのは2010年2月にSECが発表したもので、アメリカにおけるIFRS適用に向けた作業を具体化するために作成されたもので、現在SECではこのワークプランに基づいてIFRS適用のための検討を進めています。

SECによるワークプランでは、IFRSの基準そのものについて以下の項目が挙げられています。
・アメリカにおける報告基準としてのIFRSの発展状況と適用可能性
・投資家の利益保護のための基準開発機関の独立性

また、アメリカでのIFRS移行については以下の項目が挙げられています。
・IFRSについての投資家の理解と教育
・会計基準の変更によるアメリカでの規制環境への影響
・適用企業(大企業および小規模企業)におけるシステム、契約形態、企業統治や訴訟対応等を含めた影響
・人的資源の整備

このレポートはまだ途中経過を報告しているものであるため、SECからはどのようにIFRSを評価するのか結論は出ていません。しかし、確実にIFRS適用に向けて作業のスピード感が感じられます。

特に、IFRSの基準そのものを評価する中で、FASB(米国財務会計基準審議会)の役割についても検討が行われています。各国のIFRS適用のアプローチについて調査をしています。世界の各国でとられているアプローチは主に2つあります。

1つはコンバージェンスアプローチという方法で、IFRSを直接採用することはせずに、各国の会計基準をIFRSに近づけるというものです。この方法では規制当局は自国の会計基準を保持でき、自国の利益を守ることができます。しかし絶えずIFRSに近づけるよう努力を続ける必要があります。このような方法は中国などで採用されています。

もう1つのアプローチがエンドースメントアプローチです。これはEUなどで採用されていて、IFRSを各国で採用するために承認手続を設定する方法です。EUの場合は、この承認手続の間にIFRS自体が修正されたことがあり、承認手続によってIFRSの設定に影響を与えようとしています。

FASBがどのような役割を担うことになるかはこれからさらに検討が必要とされており、現時点ではまだ分かりません。しかし、FASB委員長はFASBがグローバルな会計基準の発展に重要な役割を担うことになるという声明は出されています。確かに、アメリカ自体は米国の会計基準そのものを取り下げてしまうということはしないでしょうし、FASBの役割を強化することと、IFRSの適用は相反するものではないと考えているのでしょう。

日本については、今のところ、完全なアドプションを予定しており、エンドースメントなどを必要とするEUなどよりも、早いタイミングでIFRSを受け入れて行くことになります。このような各国の戦略の違いにより、今後のIFRSへの影響力にも差がつくと考えられます。



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