2010年11月8日月曜日

IFRS、SOXに日本はどう対応していくか

現在、日本の内部統制報告書制度は見直しが進められています。これからIFRSとSOX両方に対応していかなくてはならない日本企業としては内部統制報告書制度の動向も注目していかなくてはなりません。2010年10月に金融庁から内部統制報告書制度の見直し案が提示されました。
今回提案されている内容は以下のとおりになります。



(1)企業の創意工夫を活かした監査人の対応の確保
(2)中堅・中小上場企業向けの簡素な内部統制の取組みの「事例集」の作成
(3)内部統制の柔軟な運用手法を確立するための見直し
(4)「重要な欠陥」の用語の見直し 

提案全体を通して、内部統制制度の運用を簡素化するものとなっています。たとえば、業務プロセスの評価手続をローテーション化できることを明確にしたり、全社的な内部統制の評価方法の簡素化を定めたりなど、柔軟な運用を確立することを目指そうとしています。企業に過度な負担をかけることがないように、という配慮によるものだと思います。内部統制報告書制度に対する日本の対応としては、簡素化が1つの流れになっています。

SOXが簡素化されてきている中で、IFRSは、日本ではコンバージェンス、さらにはアドプションという形で存在感を増してきています。どちらも日本にとって、海外発の制度を導入することになるわけですが、IFRSとSOX2つの制度は全く逆方向と言っていいほど違う指向性があります。

SOXはアメリカでエンロン等の企業不正事件をきっかけに始まったもので、簡単に言ってしまえば、企業内の手続や会計処理に焦点を当てて、会計基準が適切に運用していこうとするものです。

IFRSはエンロン等の事件によりアメリカの会計基準の信頼性が失墜していく中で、急速に広まっていきました。IFRSはSOXとは全く違った方法で、エンロン等の企業不正に対する対処方法を指向しているといえます。つまり、企業の手続などを監視して適正性を担保していくのではなく、公正価値評価という「公正」な評価方法というアプローチを導入しようとしています。

IFRSでは社内の統制や管理についてなんら言及はありませんし、むしろそういう管理には適していない印象を受けます。社内の業績管理とIFRSとの間で整合を取るのが難しく問題なることが実際に起きていますが、そもそもIFRSは社内の管理等には向いていない会計基準であると思います。

このように全く違う方向の制度を両方運用することになる日本では、混乱も起きかねないと思います。懸命な対応としては、当然のことですが、SOXが簡素化される方向にしたがっていくことです。IFRS適用においても実際のSOX対応は、早期に着手することにメリットはあまりなく、直前にやることになるのではないかと思います。

本来の開示制度そのものの制度設計を考えれば、SOX自体をなくしてしまうという選択肢もあります。日本の開示制度はIFRS導入を控えて見直しが必要となっているのです。



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