2010年10月18日月曜日

日本企業が知っておくべき中国のIFRS事情

いろいろな企業の方とお話してもっともよく聞くIFRS対応の懸念点というのは、連結グループ会社での対応をどのように進めるかという問題です。海外に盛んに進出している企業はもちろんのことですが、主に国内でビジネスを展開している企業であっても中国などアジア地域に子会社を保有しているケースはよくあります。しかし、現地の会計がどのようになっているかは把握しきれていないことが多いようです。今回はこの近くて遠い中国の会社の場合を取り上げてみたいと思います。

まず、海外のグループ会社のIFRS対応上重要な課題は主に以下の2点にあります。中国固有の事情を含めて順に解説していきます。

・会計方針の統一
会計方針の統一についてはIFRSベースで親会社と合わせることになりますので、現地での会計処理をきちんと指導しなくてはなりません。中国では2007年に公表された新企業会計準則によってIFRSとのコンバージェンスが進んでいます。その点では日本よりも対応は進んでいるといえます。したがって、現地の会計基準で記帳している中国のグループ会社はほとんどIFRSに従った会計処理ができていると考えている方も多いと思います。

しかし、新企業会計準則は上場会社など一部の企業が強制適用となっており、それ以外の企業は旧企業会計準則を適用できます。日系の中国企業は必ずしも新企業会計準則を適用しているとは限りませんので注意が必要です。

日本の親会社は現地の企業が新基準と旧基準のどちらを採用しているのか、実際にどのような会計処理を行なっているのかを把握しなければなりません。

・決算期の統一
IFRSでは原則としてグループ会社の決算期は親会社と統一しなくてはなりません。ただし、実務上不可能である場合は、3ヶ月までの決算期のずれが認められています。
日本企業は3月決算が多いのですが、中国では決算期は12月と法律上決まっているため中国の本決算は変更することができません。そこで中国のグループ会社については何らかの対応が必要となってきます。

多くの場合、仮決算を行なうことが必要となり、3月にもう一度決算を行なうことになります。グループ会社側で人員体制を整備することができればいいのですが、必ずしも現地企業には十分な人材が揃っているとは限りません。これまでは12月から3月の期間を利用して中国のグループ会社は決算に余裕を持つことができたわけですが、仮決算ではそのような余裕はなくなります。決算の早期化も視野に入れた対応が必要となってきます。

現地で対応が難しい場合は、親会社で連結処理上の修正を行なうといった方法もあります。この場合でも修正の基礎資料は現地から提出してもらう必要があるのでやはり現地での負担が生じることになります。

その他にも、このまま3ヶ月のずれを維持することも1つの方法ではあります。しかし、これは実務上不可能な場合に限られるので、まずは原則的な方法を検討しておく必要があるでしょう。1つ注意しておきたいのは「実務上不可能な場合」というのは企業固有の事情を検討することになるので、他社事例で中国の会社が仮決算ができているからといって自社においても同じ対応をしなくてはならないというわけではないということです。決算期の異なる企業が一律にすべて仮決算を行なうことになるとは限らないのです。

また、3ヶ月のずれを放置しておくとその期間に発生した重要な変動の調整や、連結処理の親子会社間取引の差異分析などの手続が面倒になります。そのような点も考慮した上でどのような対応が一番効率的か考えるべきです。

海外のグループ会社に対する管理が十分にできていないと感じている企業は意外と多いという印象を受けます。早い段階から密接にコミュニケーションを取ることが円滑な対応につながると思います。




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