2010年10月4日月曜日

概念フレームワークに見るIFRSの感覚と日本の感覚の違い

IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)は共同で財務諸表の概念フレームワークの改訂を進めています。段階的に改訂を進めていく予定になっており、2010年9月に最初のフェーズが完了しました。これで、財務諸表の概念フレームワークの中でも、一般的に利用される財務諸表の目的、と有用な財務情報の質的特性が新しいものに置き換わりました。

財務諸表の概念フレームワークというのは、他のIFRSの基準書とは違って、企業がどのような会計処理をしなければならないとか、どういう情報を開示しなければならないとか、ルールを定めているわけではありません。あくまでガイドです。しかし、IFRSの各基準書はこの概念フレームワークに沿って個々の規定を定めているわけで、概念フレームワークがIFRS全体の思考を支えてるのです。

IFRSを考えるとき、どうしても基準書に定められている個々の基準書の内容に注目してしまいがちですが、概念フレームワークが何を定めているのかということは、IFRSの本質を知る上で重要です。IFRSが日本の会計基準と全く違う思考のもとに成り立っていることを考えるとおろそかにはできないところです。

今回は、その新しい概念フレームワークの中に、IFRSについての議論で見落とされがちなポイントがありますので紹介します。それは重要性、という考え方です。日本の会計でも企業会計原則の中で重要性の原則が出てきます。重要性の乏しいものについては本来の厳密な処理をしなくても簡便的な方法でよい、ということです。特に私たちにとっても新しいものではありません。

概念フレームワークの中では、その情報が省略されたり間違って報告されたりした場合、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えるかどうかという観点で重要性を規定しています。また、重要性というのはその情報の質的、量的側面から企業が個別に判断するものとしています。したがって、このような企業個別の事情については基準書の中で考慮することはないし、画一的な重要性の基準値を設けるようなこともない、ということになります。

IFRSに基づいた会計処理を考えるとき、なぜか「出荷基準は認められない」「減価償却の定率法は認められない」「子会社の決算期は絶対親会社と統一しなければならない」と画一的に語られてしまうことが多いように思います。確かに、基準書には原理原則しか書いていないのでそれをそのままあてはめれば、そのような議論になってしまいがちだと思います。しかし、そのような基準書の原則は個別の企業の事情を敢えて考慮しない、それは各自が判断すべき、という概念フレームワークに基づいてのものなのです。このような画一的な議論ばかりでは判断を誤ってしまいかねません。

IFRSについて、概念フレームワークなどIFRSの大枠の考え方に触れることで、個別論点はもっと柔軟に考えることができると思います。このようなIFRSの考え方を身につけることが一番重要なことです。


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