2010年9月7日火曜日

リースの貸し手と借り手は鏡の関係に:IFRSリースの公開草案

2010年8月に国際会計基準審議会(IASB)からリース取引について基準書の公開草案が公表されました。リースをどのように会計処理すべきなのか、考え方は大きく変わりました。

これまでは「モノを借りて使用し、リース料を支払う」というリース取引について、それが実質的に「モノを買って使用し、代金を延べ払いにする」のと同じと考えられる場合は、モノを買ったのと同じ処理をすることが必要でした。つまり、モノを買ったとはいえないような取引はリース料だけを費用として処理することになります。この考え方はIFRSでもUSGAAPでも日本基準でも基本的に同じでした。そこで、現実にはいろいろな方法で「モノを買った」と判定されないような取引を仕組んでリース取引が行なわれるようになりました。

このような状況に対して、財務諸表の透明性を確保するためにリース取引の抜け道をなくすような改訂が提案されています(借り手の新しい会計処理についてはこちらの記事をご覧ください)。

今回は貸し手側の会計処理がどのように変わるのかを見ていきたいと思います。公開草案で提案されている使用権モデルの原則は貸し手と借り手の会計処理が対称になることです。借り手でリース料の支払い義務として負債を認識したのであれば貸し手もそのリース料を受け取る権利を資産として計上しよう、ということを考えています。

具体的には貸し手の会計処理については2つのアプローチがあります。履行義務アプローチと認識中止アプローチで、どちらを適用するかは、貸し手がリースを行なう資産について重要なリスク、便益が借り手に移転しているかどうか、によって決まります。

リースされる資産についてのリスクと便益が貸し手側に残っているという場合、その資産は貸し手の経済的資源であり、貸し手はその資産を使用することを借り手に約束しているものと考えます。履行義務アプローチです。
そこで、資産は貸し手にオンバランスしたままになります。貸し手が使用するという約束が貸し手の履行義務であり、リース負債として認識します。リース負債は当初リース債権(借り手から受けるリース料)と同額となり、リース期間にわたって履行義務を果たすのに伴って、収益を認識します。そして、リースする資産については減価償却を行なっていきます。

一方、資産のリスクと便益が借り手に移転していると考えられる場合は、認識中止アプローチを適用します。こちらのアプローチではリースされる資産のうち借り手に移転している部分については認識を中止し、オフバランスします。基本的にリース債権の現在価値と認識を中止した部分の差額が収益として認識され、その後実効金利法によりリース債権の利息部分の収益認識がなされます。この方法は現行のファイナンス・リース取引の処理と似ています。

基本的にオンバランスするリース料の見積りは貸し手も借り手も同じ方法で行なうことが求められています。しかし、契約を更新するか、中途解約するか、といったオプションも含めて50%超の可能性がある最長のリース期間を見積もる、といった具合に貸し手と借り手それぞれの独自に判断することが必要となるので、その結果得られる見積りは違いがあると考えられます。実際には貸し手と借り手が全く対称の鏡の関係になるとは限りませんが、理論的には整合したモデルになっていると思います。

公開草案からさらに具体的な問題点が検討されていくことになります。今後公表される基準書も注目すべきです。


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