2010年7月12日月曜日

IFRSの新しい収益認識アプローチ

��010年6月に国際会計基準の収益認識について公開草案が公表されました。
これまではIAS第18号「収益」やIAS第11号「工事契約」といった基準書によって売上の処理が定められていましたが、新しい公開草案に置き換わることになります。

日本での国際会計基準適用を考える上で「売上を計上するタイミングが変わる可能性がある」というトピックは重要な問題としてよく挙げられているので、ご存知の方が多いと思います。
日本の会計基準では売上の計上は特に明文化された基準がなくそれまでの慣行に従って決めていることが多いのですが、国際会計基準では計上の要件が定められているため、この要件に照らすと従来の日本の慣行が認められなくなるのではないか、ということが問題とされていたのです。

今回公表された国際会計基準の公開草案では、この要件についても従来のものから変更されています。

従来のIAS第18号では重要なリスクと経済的便益が買い手に移転しているかを重要視していました。つまり、物の占有や所有権の移転などによって収益を認識することになるのが一般的ということになります。そこで物品の販売では出荷時ではなくて先方の検収時に収益を認識すべき場合があると指摘されています。しかし、ただ単純に所有権の移転時に収益認識をしなければならない、というわけではありません。あくまでも取引の実態を総合的に考えて判断することが必要となるので一律に出荷基準が否定されているわけではないのです。

今回の公開草案ではリスクと便益ではなく、支配の移転を重視します。新しいアプローチでは以下の手順で収益を認識します。

1.顧客との契約を識別する
2.顧客への履行義務を独立して識別する
3.取引価格を決定する
4.取引価格を各履行義務に配分する
5.各履行義務を果たした時点に配分された取引価格を収益認識する

1.契約の識別では文書での契約だけでなく口頭や黙示の契約も含めて考えることになりますが、多くの場合は1つの契約書をもって識別することになると思います。

しかし、2.履行義務の識別では1つの契約から複数の履行義務を分けることになる場合もあります。例えば、物品の販売で、顧客に引き渡した後に発生した故障についての製品保証を行なう場合がありますが、これは製品の引渡しとは別の独立した履行義務となります。

3.取引価格の決定では、実際に販売により回収できる金額が取引価格となります。多くの場合が契約上の販売価格となる場合が多いと考えられますが、貨幣の時間価値や顧客の信用リスクにより調整が必要となることがあります。

このように新しいアプローチでは履行義務を別個に把握することが特徴となっています。個々の履行義務が果たされ、物やサービスが実際に顧客の支配となったタイミングで、実際に受け取ることができる金額を収益として認識することになります。

結局のところ、現実の取引に照らして新しいアプローチによりどれだけ収益の認識方法が変わるか、というのが気になるところです。なかなかアプローチを説明しただけでは判断が難しいと感じられる方が多いと思いますが、多くの取引については現行のIAS第18号における処理と大きく変わらないのではないかという印象を受けます。

しかしながら、一部の取引については影響が出る場合があると考えられます。どのような影響が考えられるかは次回取り上げていく予定です。



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