2009年12月1日火曜日

金融商品会計の新基準書:IFRS第9号の公表

2009年11月になって国際会計基準審議会(IASB)は
新しい基準書を公表しました。
IFRS 9 Financial Instrumentsです。
金融商品会計の中でも最も改訂が早く取り組まれていた、
金融資産の分類と測定について大幅に取り扱いが変わりました。



金融資産の分類と測定というのは
債権や有価証券、デリバティブなどをどのような金額で評価し計上するか、
という問題です。金融機関に限らずすべての企業に関係してくる重要な話です。



この新しい基準書で最も特徴的な点は、
金融資産の保有目的による分類を廃止したということです。



従来の国際会計基準や現行の日本基準では
保有目的によって金融資産を分類して
分類毎にその目的にあった評価を行うことになっています。
例えば、トレーディング目的で保有しているものはその時価の変動が
投資の成果として分かるように、
時価で評価して評価差額は当期の損益に計上します。
また、満期まで保有して利息を受け取る目的であれば、
時価で評価はせずに償却原価といって実効金利で割り引いた金額で計上します。



改訂後の分類方法ではそのような保有目的による分類を行ないません。
目的ではなく
①企業のビジネスモデル、と
②金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特徴
の要件によって、
償却原価で測定するものと公正価値で測定するものの2つに分類します。



①の企業のビジネスモデルの要件とは
企業がその金融資産を保有し、契約上の元本と利息を回収するための管理を行なっているか、ということです。
保有目的では経営者の意図が重要でしたが、
ここでは事実関係、に焦点が当てられることになります。
また、この判定は企業レベルで行なうものでもなく、金融商品単位に検討するわけでもありません。



どのような単位で検討するかは企業の判断に任されています。
例えば、ポートフォリオ単位で管理を行なっているのであればポートフォリオ単位で判断することになると思います。



②の要件は金融資産そのものがどのようにキャッシュ・フローを生み出すかを検討することになります。
金融資産を保有することによって、契約上、特定の日に元本と利息を回収することができるのであれば、この要件を満たすことになります。



これらの2つの要件を満たしたものが償却原価で測定されることになります。



例えば、通常の貸付金などは従来の基準と同じように償却原価で測定されることになります。
また株式やデリバティブなどはキャッシュ・フローが分かりませんので公正価値で測定することになります。



今回の改訂で金融資産の分類と測定は非常に簡素化されました。
しかし、すべてがこの分類だけで処理できるわけではありません。
それぞれの測定方法について任意で選択できる会計処理も用意されています。



その選択肢については次回ご紹介したいと思います。



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